2020年6月20日、兵庫県西宮市の蓬莱峡(ほうらいきょう)へ行ってきました。
きっかけは、他のヤマッパーさんの活動日記です。西宮に海外みたいな景色があるらしい、と。
ちょうど前日の6月19日から、都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で解除されたところでした。安倍総理(当時)が「明日からは都道府県をまたぐ移動も全て自由となります」と発表した、その翌日です(Car Watch)。久しぶりに遠出できる日でした。
コースデータ
| 山・場所 | 蓬莱峡・座頭谷/岩原山(573m)・譲葉山・岩倉山/兵庫県西宮市・宝塚市 |
| 日付 | 2020年6月20日(土) |
| ルート | 阪急宝塚駅〜生瀬駅〜知るべ岩バス停〜蓬莱峡〜屏風岩〜座頭谷〜六甲全山縦走路合流〜大谷乗越〜岩原山〜譲葉山〜岩倉山〜塩尾寺〜宝塚駅 |
| 距離 | 16.4km |
| のぼり/くだり | 849m/850m |
| 行動時間 | 5時間26分(9:22〜14:49/うち休憩27分) |
| コース定数 | 25(きつい)/標準タイム7時間5分 |
| 標高 | 35m〜582m(GPSの記録) |
| 天気 | 晴れ |
| 注意 | 迷いやすい箇所あり/危険箇所あり/渡渉あり |
蓬莱峡へのアクセス

9時22分、阪急宝塚駅からスタート。30分ほど歩いてJR生瀬駅を通り、そこからさらに歩いて10時21分に知るべ岩バス停に着きました。
この日は駅から歩きましたが、バスで来るならここが最寄りです。阪急バスの「知るべ岩」停留所。
生瀬駅までの道には車道の橋があって、歩道がすれ違えないくらい狭い区間があります。ここは注意してください。

10時43分。蓬莱峡に入るには、この川を渡ります。
前の週に雨が降っていたので、少し増水していました。橋はありません。石を選んで飛ぶことになります。
この先も含めて、この日は渡渉が3〜4か所ありました。一緒に行った人のうち、途中で引き返した人もいます。増水しているときは無理をしないほうがいいところです。
蓬莱峡。日本に見えない

10時49分。これです。
白茶けた岩がとげとげに立ち上がっていて、そこだけ植物がない。グランドキャニオンみたい、と思いました。行ったことはないんですが。
この地形には名前があります。バッドランド(悪地)です。
蓬莱峡は六甲山地にある峡谷で、断層破砕帯にあたります。砕かれた花崗岩がさらに風化して、鋸の歯のような鋭い岩峰の稜線ができました。これが地質学でいうバッドランドです(Wikipedia「蓬萊峡」)。
断層で砕けた岩が風化して、こうなる。日本らしくない景色に見えたのは、日本らしくない成り立ちだったからです。

とがった岩が地面から生えているように見えます。
「蓬莱峡」という名前の由来には諸説あって、宝塚有馬自動車(現在の阪急バス)が剣山付近に対して名付けたという説と、朝鮮の金剛山を訪れたことのある村長が、故郷の景観に似ているとして剣岩・大剣・小剣のある一帯を蓬莱峡と名付けたという説が伝わっています(Wikipedia「蓬萊峡」)。
剣、という字が並びます。見れば納得の名前です。

10時58分、屏風岩。
この日はクライマーの方が何人か取り付いていました。見ているだけでヒヤヒヤします。
蓬莱峡は1970〜80年代から、岩場を登る技術を磨く場として使われてきたそうです(Wikipedia「蓬萊峡」)。半世紀続く練習場ということになります。

11時7分。崩れた斜面がそのまま景色になっています。
植生が薄く、地面がむき出しで、乾いた色をしている。六甲にこんなところがあるとは思っていませんでした。
座頭谷へ。ここが本番の道です

ここから先が、この日いちばん気を使った区間です。
蓬莱峡から座頭谷(ざとうだに)までは、道がはっきりしません。目印は木に巻かれた色付きのテープと、石を積んだケルンだけです。藪をこぐ区間もあります。
YAMAPのこの記録にも「迷いやすい箇所あり」「危険箇所あり」のタグが付いています。行くなら地図をダウンロードして、テープを見落とさないようにしてください。

11時43分、座頭谷。
石だらけの広い谷です。人工物が視界に入りません。人生に疲れたときに来たらいいかもしれない、と思うくらいの非日常感がありました。
この谷の名前の由来は、京都に住んでいたひとりの座頭(ざとう)が、持病を癒すために有馬温泉へ向かう道中で行き倒れになったという言い伝えからきています(Wikipedia「蓬萊峡」)。
それと、この一帯は映画のロケ地としてよく使われてきました。松本清張原作の『内海の輪』や、黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』(1958年版)などです。言われてみれば、時代劇の合戦場にちょうど良さそうな地形です。
座頭谷からは川沿いに上流へ向かいます。ただ、こちらもすぐルートが分からなくなります。テープとケルンだけが頼りです。
予定変更、六甲全山縦走路で宝塚へ
藪と岩場を歩いたせいか、思ったより疲れていました。予定を変更して、宝塚へ帰ることにします。
12時55分、大谷乗越で六甲全山縦走路に合流。

縦走路にはこういう看板が出てきます。
六甲全山縦走路は、須磨浦公園から宝塚までの全長56km。1925年1月に須磨浦公園の敦盛塚から宝塚まで歩いたのが始まりで、1975年から「六甲全山縦走大会」が開かれています(Wikipedia「六甲全山縦走」)。この日歩いたのは、その東の端の部分です。
13時12分、岩原山。標高573mで、宝塚市の最高峰です。ただし山頂からの展望はありません(Wikipedia「岩原山」)。看板も見当たりませんでした。
そのあと譲葉山(西峰・南峰・本峰)、岩倉山と続けて踏んでいきます。ピークが数分おきに出てくるので、取れるものは取っておこうという気分になります。

13時36分、岩倉山のあたり。大阪方面が見えました。
朝、あの荒れた岩の谷にいたのに、いまは街を見下ろしている。同じ六甲の中でこれだけ表情が変わります。
13時54分に塩尾寺(えんぺいじ)。ここから舗装路を下って、14時49分に阪急宝塚駅でゴールしました。

そして、ビール。
移動の自粛が解けた翌日に、久しぶりの山へ行って、駅前で乾杯する。2020年の6月としては、なかなか贅沢な一日でした。
行く人へ
景色は間違いなくおすすめできます。ただ、道のことは正直に書いておきます。
渡渉があります。この日は3〜4か所。橋はなく、石の上を渡ります。雨のあとは増水するので、日程を選んだほうがいいです。
道が分かりにくいです。とくに蓬莱峡から座頭谷、座頭谷から上流にかけて。テープとケルンを追う場面が続きます。藪こぎもあります。地図のダウンロードは必須です。
この日の記録は16.4km、のぼり849m、5時間26分。コース定数は25で「きつい」に分類されます。距離のわりに数字が重いのは、歩きにくい区間が多いからだと思います。
逆に言うと、蓬莱峡と屏風岩を見るだけなら、知るべ岩バス停から歩いてすぐです。景色だけ見たい人は、そこで引き返すのもありだと思います。
まとめ
- 宝塚駅から蓬莱峡・座頭谷を経て、六甲全山縦走路で宝塚へ戻る周回。16.4km・のぼり849m・5時間26分
- コース定数25の「きつい」。渡渉と藪こぎがあるぶん、数字以上に時間がかかります
- 蓬莱峡は六甲山地の峡谷で、断層破砕帯にあたる「バッドランド(悪地)」。砕けた花崗岩が風化して鋸歯状の岩峰になっています
- 名前の由来には、阪急バスの前身が剣山付近に名付けた説と、朝鮮の金剛山に似ているとして村長が名付けた説があります
- 屏風岩は1970〜80年代からクライミングの練習場として使われてきました
- 座頭谷の名は、有馬温泉へ向かう途中で行き倒れた座頭の言い伝えから。『隠し砦の三悪人』などのロケ地です
- 蓬莱峡から座頭谷は道が不明瞭。テープとケルンが頼りで、地図のダウンロードは必須です
- 渡渉が3〜4か所あります。雨のあとは増水するので注意してください
- 岩原山(573m)は宝塚市の最高峰。ただし展望はありません
- 景色だけなら、知るべ岩バス停から蓬莱峡・屏風岩の往復でも十分楽しめます
六甲はいつまでも違う顔を見せてくれます。
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