2020年3月20日、生駒山で日の出を見てきました。始発で生駒駅まで行って、宝山寺の参道で朝日を拝んで、山頂で朝ごはんを食べて、大阪側の石切に下りる。9.0km、3時間21分です。
この日は春分の日でした(国立天文台)。昼と夜の長さがほぼ同じになる日に日の出を見に行った、というのは今になって気づきました。当日はただ「朝日を見たいなあ」と思って出ただけです。
コースデータ
| 山 | 生駒山(642m)・岩坂山/奈良県生駒市〜大阪府東大阪市 |
| 日付 | 2020年3月20日(金・春分の日) |
| ルート | 近鉄生駒駅〜鳥居前駅〜宝山寺〜般若窟〜奥の院〜経塚〜生駒山上遊園地〜生駒山〜岩坂山〜石切劔箭神社〜新石切駅 |
| 距離 | 9.0km |
| のぼり/くだり | 538m/672m |
| 行動時間 | 3時間21分(5:52〜9:13/休憩49分) |
| コース定数 | 15(ふつう)/標準タイム4時間10分 |
| 消費カロリー | 954kcal |
| 天気 | 晴れ |
レトロな2人組

5時52分にスタート。生駒駅から宝山寺へ向かう坂の途中に、公衆電話ボックスと丸型ポストが並んで立っていました。
どちらもいまは減っている設備です。それが2つ並んでいるので、勝手に「2人組」ということにしました。
参道がオレンジ色になった

6時過ぎ、宝山寺の参道あたりで日の出になりました。
太陽が山際から顔を出すと、参道が丸ごとオレンジ色になります。石段も、灯籠も、自分の手も全部オレンジです。この色の中に立っていられるのは10分か15分くらいで、あとは普通の朝の色に戻ります。
早起きした分の元は取れました。
宝山寺と、般若窟

6時17分、宝山寺に到着。
延宝6年(1678年)に湛海律師が中興開山したお寺です。それ以前から、滝の多い生駒山は修験者の修行地として栄えていました。本尊は不動明王で、聖天堂の大聖歓喜自在天が「生駒聖天」として知られています(生駒市デジタルミュージアム)。

寺の背後にある大きな岩壁が般若窟です。現地の説明板にこう書いてありました。
般若窟は、その昔、役の行者が窟内に梵本の般若経を納めた場所で、その霊域を訪ねて弘法大師もここで修行したと伝わる霊跡である。中興開山の湛海律師は、役の行者がこの般若窟を弥勒浄土の内院になぞらえて修行したことから、本尊の弥勒菩薩像や役の行者像などを祀った。また岩の頭に雲上閣を建てて、自ら彫った虚空蔵菩薩像を安置し、八千枚不動護摩供と並ぶ苦行である虚空蔵求聞持法を修している――。
見上げると、本当に岩の途中です。よくあんなところで、と思いました。
経塚という地名の意味

宝山寺の奥の院を抜けて、その先で登山道を見つけました。舗装路のほうに「経塚へ」という案内があって、そこから山道に入ります。人があまり通らないのか、歩きやすい道ではありませんでした。
6時57分、経塚に到着。
経塚というのは、仏教の経典を地中に埋める信仰の形です。紙に写した経典や銅の板に刻んだ経典を金属製の経筒に納めて埋めます。永承7年(1052年)に末法の世が来るという末法思想の影響で成立したもので、12世紀が盛期でした。平安時代には浄土思想が広まって個人の願いをかなえる目的でも行われるようになり、中世には現世利益や追善供養の意味も加わっています(Wikipedia「経塚」)。
経典を土に埋めて後世につなぐ、という考え方です。世の終わりが来ても、掘り返せば教えが残っているように、ということでしょう。1000年前の人が未来に向けてやったバックアップだと思うと、少し感じ方が変わります。
誰もいない遊園地

7時1分、生駒山上遊園地の駐車場に出ました。
入口の看板に、冬季休園のお知らせが出ていました。ここまでは例年どおりです。ただ、その上に紙が1枚貼ってありました。
「生駒山上遊園地 臨時休園のお知らせ 3月14日(土)〜31日(火)臨時休園いたします」
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、と書かれていました。再開日は今後の状況を見ながら検討して決定次第お知らせします、とも。冬季休園が明けるはずの時期に、そのまま休園が延びたということです。

7時10分、遊園地の中を通ります。誰もいません。私一人の世界です。
生駒山上遊園地は1929年(昭和4年)3月27日の開園で、標高642mの生駒山頂周辺にあります。シンボルの飛行塔は高さ30mで、塔の基礎と塔体は2014年時点でも開園当時のまま。日本国内に現存する大型遊具ではいちばん古いものです(Wikipedia「生駒山上遊園地」)。90年動いてきた遊園地が止まっている朝でした。

いちばん変な感じがしたのが、メリーゴーラウンドでした。
音も人もないのに、お馬さんの表情だけが楽しそうなままです。静けさと表情がかみ合っていなくて、少し不気味でした。今にも動き出しそう、というのはこういうことなんだと思います。
馬が酔う木

7時17分、白い小さな花が房になって垂れている木がありました。馬酔木(あせび)です。YAMAPで他の方の投稿を見ているうちに、名前を覚えました。
「馬酔木」という字は、馬が葉を食べると毒にあたって苦しみ、酔ったようにふらつくことに由来します。有毒成分はグラヤノトキシンIなどで、中毒すると血圧低下、腹痛、下痢、嘔吐、呼吸麻痺、神経麻痺が起こります。花期は3月から5月です(Wikipedia「アセビ」)。
おもしろいのはこの先で、ニホンジカもアセビを食べません。だから奈良公園や春日山では、シカが他の木を食べてアセビだけ残るので、アセビが目立って多くなっているそうです。名前に馬が入っていて、実際に効いている相手はシカ、という話です。
冷ました肉まんを、温めて食べる

7時24分から朝ごはんです。
来るときにコンビニで買ったピザまんと肉まんを、ホットサンドメーカーで焼きました。表面がカリカリになって、焼印もきれいに入ります。コーヒーも淹れました。
うまい。私はいま世界で一番幸せかもしれない、と思いながらあっという間に食べました。
ただ、よく考えると変な話です。買ったときはホカホカだった肉まんを、わざわざ冷まして持ってきて、山の上で温めて食べている。なんて無駄なことをしているんだろう。これがマッチポンプというやつでしょうか。
無駄でしたが、おいしかったです。

8時24分、下りながら大阪側を見たら、雲の影が街の上を動いていました。影の形と雲の形がちょうど対比するように並んでくれたので、1枚撮りました。
石切に下りて、お百度の話

8時36分に岩坂山、9時5分に石切劔箭神社。参道の途中に石切大仏があります。
「日本で三番目」と石碑に彫ってあるので調べてみたのですが、何を基準にした三番目なのかは分かりませんでした。自称、ということのようです。自称と分かってからのほうが、むしろ好きになりました。
石切劔箭神社では、下山を感謝してお参りしました。この日は百度石を回っている方がたくさんいました。境内の2つの百度石のあいだを行き来する、お百度参りです。
ずっと「100回まわらないといけない」と思っていたのですが、そうではないそうです。神社の説明によると、「必ず100回でなければならないという訳ではありません。『百』とは単に100を意味する以外に、数が多いことを表す語でもありますので、歳の数やご自身の気持ちが落ち着かれる回数を決めていただき、お百度を踏んでいただいても結構ですよ」とのこと。2基の百度石のあいだを一周すると約33mだそうです(ピカッと東大阪)。
100回だと3.3kmです。決めた数だけでいい、と聞いて少し安心しました。
9時13分、新石切駅でゴール。9.0kmでした。
9時に帰ってきて、昼寝をする
始発で出て、日の出を見て、山頂で肉まんを焼いて、9時過ぎに帰ってくる。1日がまだ半分以上残っています。
ただ、早起きした分だけ眠いです。この日は帰って昼寝をしました。それでいいと思います。
この記事を書くために調べていて、いちばん引っかかったのは遊園地の貼り紙でした。3月14日から31日まで臨時休園、再開日は決定次第お知らせします。2020年3月の時点では、まだ「31日まで」で済むと思われていたわけです。緊急事態宣言が出るのは、この18日後でした。
まとめ
- 2020年3月20日(春分の日)、生駒駅から新石切駅まで9.0km、3時間21分。日の出は宝山寺の参道あたりで見られました
- 宝山寺は延宝6年(1678年)に湛海律師が中興開山。背後の般若窟は役行者が般若経を納め、弘法大師も修行したと伝わる霊跡です
- 経塚は、経典を地中に埋めて後世に残す信仰。永承7年(1052年)に末法の世が来るという末法思想から生まれたものです
- 生駒山上遊園地はコロナで臨時休園中でした(3月14日〜31日)。誰もいない遊園地を歩けました
- 馬酔木は、馬が食べると酔ったようにふらつくことが名前の由来。シカも食べないので、奈良公園ではアセビだけが残って増えています
- 石切劔箭神社のお百度参りは、必ず100回でなくてもよく、歳の数や自分で決めた数でよいそうです
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