初めての南八ヶ岳を、思いきり欲張って回ってきました。美濃戸口から御小屋尾根で阿弥陀岳へ上がり、赤岳・横岳・硫黄岳とつないで、勢いで天狗岳まで足を伸ばして赤岳鉱泉経由で下山。27.0km、のぼり2,768m、行動時間12時間4分。コース定数66は「きつい」判定です。阿弥陀岳から見た赤岳が、本当にかっこよかった。
コースデータ
| 日付 | 2025年7月5日(土) 日帰り |
| ルート | 美濃戸口 → 御小屋山 → 阿弥陀岳 → 中岳 → 赤岳 → 地蔵ノ頭 → 横岳 → 硫黄岳 → 夏沢峠 → 根石岳 → 東天狗岳 → 西天狗岳 →(往路を戻る)→ オーレン小屋 → 赤岩ノ頭 → 赤岳鉱泉 → 美濃戸口 |
| 距離 | 27.0km |
| 累積標高 | のぼり2,768m / くだり2,765m |
| 行動時間 | 12時間4分(04:54〜16:59) |
| コース定数 | 66(きつい・標準タイム16時間48分で算出) |
| 天気 | 曇りのち一時雨、午後から晴れ間 |
| メンバー | ソロ |
標準タイム16時間48分のコースを12時間で回っています。日帰りでやる場合はかなり急ぐことになるので、行程の組み方は後半で詳しく書きます。
この山について
八ヶ岳は南北に長い山群で、夏沢峠を境に北と南で性格が変わります。南八ヶ岳は岩稜、北八ヶ岳は苔と樹林。同じ山域とは思えないほど違います。
主役は赤岳、でも見るなら阿弥陀岳から
南八ヶ岳の最高峰は赤岳の2,899mです。ただ今回いちばん印象に残ったのは、赤岳そのものより阿弥陀岳から見た赤岳でした。
赤岳に登ってしまうと、当然ですが赤岳は見えません。阿弥陀岳という一段低い場所から見上げるからこそ、あの三角形の全体が見える。これは一度見る価値があります。
山荘が多いのがこのコースの特徴
今回のルート上には、赤岳頂上山荘、赤岳天望荘、硫黄岳山荘、根石岳山荘、オーレン小屋、赤岳鉱泉と、6つの山荘があります。それぞれ雰囲気が違って、山荘巡りだけでも成立するコースです。
売店をのぞいて、飲み物を買って、少し休む。それを繰り返せるのは、水と食料を全部背負う縦走とはまったく違う体験でした。バンダナを2枚も買ってしまいました。
アクセス・駐車場
今回は美濃戸口の八ヶ岳山荘駐車場を使いました。120台・1日800円です。
| 最寄りIC | 中央道 諏訪南IC |
| 駐車場 | 美濃戸口 八ヶ岳山荘(120台・1日800円・標高1,490m) |
| トイレ | あり |
| 特典 | 駐車券でコーヒー1杯サービス |
| 下山後 | 八ヶ岳山荘で入浴500円・仮眠室2,000円(通年営業) |

駐車券のデザインが妙にかっこいい。この一枚でコーヒーが1杯もらえます。4時54分の出発時点ではまだ空きがありましたが、シーズンの週末は早い時間に埋まると思っておいたほうがいいです。
さらに奥の赤岳山荘やまのこ村の駐車場まで車で入ることもできます。ただし美濃戸口からそこまでは未舗装の林道が約3km。車高の低い車で入ると苦労するので、無理をしないほうが無難です。今回は美濃戸口に停めて、林道は歩きました。
コースタイム一覧
| 時刻 | 地点 |
|---|---|
| 04:54 | 八ヶ岳山荘駐車場 出発 |
| 06:06-06:13 | 御小屋山 |
| 06:37-06:40 | 不動清水(寄り道) |
| 07:47-08:01 | 阿弥陀岳(2,805m) |
| 08:16-08:30 | 中岳 |
| 08:51-09:11 | 赤岳(2,899m) |
| 09:11-09:25 | 赤岳頂上山荘 |
| 09:38-09:51 | 赤岳天望荘 |
| 09:55 | 地蔵ノ頭 |
| 10:20-10:43 | 横岳(三叉峰〜奥ノ院) |
| 11:00-11:24 | 硫黄岳山荘 |
| 11:34-11:42 | 硫黄岳 |
| 12:00 | 夏沢峠 |
| 12:22-12:26 | 箕冠山 |
| 12:31-12:40 | 根石岳 |
| 12:53-13:01 | 東天狗岳 |
| 13:04-13:30 | 西天狗岳(昼食) |
| 14:22-14:40 | オーレン小屋 |
| 15:11-15:24 | 赤岩ノ頭 |
| 15:52 | 赤岳鉱泉 |
| 16:59 | 美濃戸口 着 |
区間レポート
美濃戸口〜阿弥陀岳:御小屋尾根は長い
まだ暗い4時54分にスタート。朝方は小雨に降られました。3日前までは晴れ予報だったので、これは残念。
御小屋尾根は樹林帯を淡々と登る道です。御小屋山が6時06分、そこから不動清水へ少し寄り道しました。この日は水が出ていて、冷たくて美味しかった。ただし出ていない日もあるようなので、当てにしすぎないほうがいいです。
展望台という標識のある場所もありますが、正直あまり見えませんでした。山頂直下は急登で、「行場」と彫られた岩も出てきます。ここまでほぼ3時間、展望のない登りが続くので、気持ちの持ちようが試される区間です。
阿弥陀岳:ここが今回のハイライトでした

7時47分、阿弥陀岳(2,805m)に到着。そして目に入ってきたのがこの赤岳です。
樹林帯を3時間登ってきた直後に、これが正面に現れる。この順番で歩いたからこその衝撃でした。赤岳から登り始めていたら、この見え方はしません。

反対を向けば富士山。天気は曇りでしたが、富士山だけははっきり見えていました。
赤岳:山頂に山荘があるという贅沢

中岳を越えて、8時51分に赤岳(2,899m)。八ヶ岳の最高峰です。山頂には祠が並んでいて、その少し下に赤岳頂上山荘があります。
山頂から歩いてすぐの場所に山荘があるというのは、なかなかない立地です。売店をのぞいたら素敵なバンダナがあって、つい買ってしまいました。北アルプスの頭も見えていました。
横岳:ここが核心部
技術的にいちばん気を使うのがこの区間です。

地蔵ノ頭から横岳にかけては、鎖と梯子の混じる岩稜歩きになります。三叉峰、無名峰、奥ノ院とピークが連続していて、そのたびに登り返す。写真のとおり、片側が切れ落ちている場所もあります。
- ヘルメットを着ける。落石のリスクがある区間です
- すれ違いは広い場所で。狭い岩場で無理にかわさない
- 雨や濡れた岩では難易度が跳ね上がります
- 強風時は特に注意。稜線に逃げ場はありません
途中、とんでもない場所を登っている人が見えました。バリエーションルートだそうです。世の中にはすごい人がいます。
硫黄岳山荘と硫黄岳:きれいな山荘と、巨大な火口

11時00分に硫黄岳山荘。建て直したのでしょうか、内装がとてもきれいでした。家族でも泊まりに来たいと思える山荘です。
ここで揚げ餅300円をいただいて、バンダナも1,300円で購入。この日2枚目です。カフェのようなメニュー板が出ていて、ビールも日本酒もありました。飲みたかった。

11時34分に硫黄岳。山頂の北側が爆裂火口になっていて、ごっそり削れています。柵から先は立ち入り禁止。横岳の細い岩稜のあとに、この広い山頂が来るのは対比として面白い区間でした。
天狗岳:行くか迷って、勢いで足を伸ばした
正直に言うと、硫黄岳の時点で帰ろうかとも思いました。行ってよかったです。

夏沢峠を越えると、そこから北八ヶ岳です。箕冠山を経て12時31分に根石岳。登った瞬間、これが目の前に現れました。東天狗岳から西天狗岳へかかる稜線の、見事に美しいこと。
この頃には晴れ間も出てきていました。朝の小雨がうそのようです。
東天狗岳が12時53分、西天狗岳が13時04分。ここで昼食にして13時30分。そして気づきます。急いで下山しないとまずいと。
下山:オーレン小屋から赤岩ノ頭の登り返しがきつい

来た道を戻って、14時22分にオーレン小屋。色とりどりの旗が張られていて、独特の雰囲気があります。ここでたまらず1本いただきました。
問題はここからです。オーレン小屋から赤岩ノ頭への登り返しが、この日いちばんこたえました。12時間近く歩いたあとに、また標高を上げる。曇ってきたこともあって、ひたすら急ぎました。
赤岩ノ頭が15時11分、赤岳鉱泉は15時52分にほぼ素通り。堰堤広場を経て、美濃戸から林道を下って16時59分に美濃戸口へ。平均ペース200%超で駆け下りました。
総評
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 道 | 御小屋尾根は展望のない樹林の登り。横岳周辺が核心で鎖と梯子の岩稜。硫黄岳以北は歩きやすい。オーレン小屋からの登り返しが最後の関門 |
| 景色 | 阿弥陀岳から見る赤岳が白眉。富士山、北アルプス、硫黄岳の爆裂火口、根石岳から見る天狗岳の稜線 |
| 補給 | ルート上に山荘が6つ。売店で買い足せるので、荷物は軽くできる。不動清水は出ない日もある |
| アクセス | 諏訪南ICから美濃戸口へ。駐車場120台・800円・トイレあり。下山後そのまま入浴できる |
| 注意点 | コース定数66「きつい」/標準タイム16時間48分/横岳の岩稜/通信がほぼ繋がらない/日没までに下山できる計画を |
圏外問題:家族に連絡が取れませんでした
この日いちばんの反省点です。技術的な話より、こちらのほうが大事かもしれません。
私は楽天とドコモ系の2回線を契約していますが、どちらも相当に電波が弱い状態でした。阿弥陀岳では写真をLINEで送れましたが、赤岳より先はテキストの送受信すらできませんでした。
加えて、バッテリーを気にして基本的に機内モードで行動していました。常にモバイル通信をONにしていれば、どこかのタイミングで繋がっていたかもしれません。
結果、下山後に妻から「連絡が取れなくて心配した」と怒られました。12時間の行程で連絡が途絶えれば、そうなります。反省しています。
対策:YAMAPのみまもり機能を使う
あとで気づいたのですが、Bluetoothと「こんにちは通信」をONにしておけば、自分がずっと圏外でも位置情報を家族に届けられます。
仕組みはこうです。すれ違った登山者のスマホと自動でデータを交換し、その人が圏内に入ったタイミングで、こちらの位置情報が「みまもり通知先」に送られる。自分が電波を拾えなくても、人づてに届くわけです。
- 出発前に「みまもり機能」の通知先を家族に設定しておく
- Bluetoothと「こんにちは通信」をONにしておく
- 機内モードにするなら、この2つはONのままにする
- そもそもの話として、下山予定時刻を先に伝えておく
長い行程ほど、この準備が効いてきます。次は必ずやります。
下山後のお楽しみ
下山してすぐ入りたいなら、駐車場のある八ヶ岳山荘で入浴500円が使えます。通年営業で、車を停めた場所でそのまま汗を流せるのはありがたい。

この日は松本まで戻って、凌駕さんでラーメンにしました。20時19分。12時間歩いたあとの一杯です。カロリー補給という名目がこれほど正当化される日もそうありません。
まとめ
「よくばり」と名前をつけたとおり、詰め込めるだけ詰め込んだ一日でした。初めての南八ヶ岳としてはスリリングすぎたかもしれませんが、阿弥陀岳から見た赤岳と、根石岳から見た天狗岳の稜線は、そのために来た甲斐がありました。
こんな人におすすめ
- すでに岩稜歩きの経験がある人:横岳が核心。鎖と梯子に慣れていることが前提です
- 山荘の雰囲気を楽しみたい人:6つの山荘を1日で回れるコースはそう多くありません
- 長い行動時間に慣れている人:標準タイム16時間48分を日帰りでやる前提です
南八ヶ岳が初めてなら
この行程は初心者向けではありません。まずは美濃戸から行者小屋を経て赤岳を往復するか、赤岳鉱泉に1泊して赤岳と硫黄岳を回るのが現実的です。横岳の岩稜は、そこで八ヶ岳の岩に慣れてから組み込むのがいいと思います。
硫黄岳山荘には、今度は家族で泊まりに来たいと思っています。
YAMAP記事はコチラ
当日の軌跡と写真81枚は、YAMAPの活動日記にまとめています。
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